ご挨拶

ご挨拶

2018年4月に開設された当教室では,児童青年精神医学を専門とする医師の育成を行っています。児童青年精神医学を専門とするための研修には,精神医学から入る方法と小児医学から入る方法があります。当教室は,精神医学教室および小児医学教室と緊密に連携し,精神科または小児科の専門医を取得した後のサブスペシャリティとして児童青年精神医学を志す医師に広く研修の場を提供します。

医学部附属病院子どものこころ診療部の病棟および外来診療の場を活用した臨床研修では,神経発達症群(知的能力障害,自閉スペクトラム症,注意欠如・多動症など),心的外傷およびストレス因関連障害群(いわゆる愛着障害を含む),摂食障害,統合失調症,双極性障害,抑うつ障害群,不安症,反抗挑発症,素行症など,主として中学生までに見られるさまざまな精神障害の診療,さらには不登校,家庭内暴力,自傷行為などの問題への対応を幅広く研修します。精神科と同じ病棟ですので,最初に精神科で研修していただくことで精神科専門医,精神保健指定医を取得することができます。また,小児科で最初に研修した場合,小児科専門医を取得した後に,子どものこころ診療部の病棟や外来の臨床研修を受けることも可能です。研修終了までに「長野県発達障がい専門医」(後述)を取得することができます。

当教室は,長野県から「長野県発達障がい診療人材育成事業」を受託しています。この事業では,以下の3つの業務を担っております。

県内各地で地域医療を担っている小児科医または精神科医のなかで,神経発達症の診療を一定以上の水準で行える医師を増やすためのカリキュラムを実施しています。講義(月1回),陪席実習(10回)など所定のカリキュラム(1~2年で履修可能)を修了すると「長野県発達障がい診療医」に認定されます。さらに,所定の臨床経験を積むと「長野県発達障がい専門医」に認定されます。これらはいずれも長野県独自の認定資格です。なお,医師であれば,すべてのカリキュラムを受講せず講義だけ受講することも可能です(登録制)。

県内10の障がい保健福祉圏域(北信,長野,上小,佐久,大北,中信,諏訪,木曽,上伊那,飯伊)それぞれに教員を派遣し,福祉・教育・保健・労働等関連機関と連携して定例の連絡会議に出席するなど,地域の支援ネットワークの構築に医療の立場から参画します。

子どもの心の診療ネットワーク事業」の長野県における拠点病院の1つとして,他の拠点病院(県立こども病院,県立こころの医療センター駒ヶ根)と連携し,子どものこころの三次医療を担います。

研究では,臨床からの着想を重視した臨床研究に力を入れています。神経発達症,摂食障害を主たるテーマとして,診断学,治療学,疫学,神経生物学的研究を行っています。また,狭く疾患や障害にとどまらず,母子精神保健や学校精神保健全般を視野にいれた児童期・思春期の精神保健に関する研究も行っています。

児童青年精神医学は,まだ言葉で自分の気持ちを十分に伝えられない子どもたちの精神状態をさまざまな行動から推測する力,親をはじめとする周囲の大人たちの精神保健に配慮するための精神医学的な力量,そしてさまざまな関連領域の人たちと連携し,調整するための総合力が求められます。奥が深く,とても魅力的な臨床医学の領域です。全国的にも数少ない大学医学部で児童青年精神医学を専門に学べる臨床教室である当教室で一緒に学び,研究する方を募集しています。松本の地で,ぜひ一緒に研鑽しましょう!

本田秀夫教授

信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 教授 本田 秀夫

信州大学医学部子どものこころの発達医学教室
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